
競争戦略というとマーケティングが得意とするところです。さて、実際の市場も、個人消費が伸びないなかで、政治と同じように、どんどん「小選挙区化」傾向が進んできています。つまりトップブランドは店に置いてもらえるけれど、二番手以下はカットされてしまうか、厳しい取引条件をつきつけられ、やっと生き残れるということになります。
弱者のマーケティングは、強者のマーケティングとは比較にならないぐらいの知恵や戦略が必要です。強いブランドの仕事、弱いブランドの仕事も経験してくると、その差の大きさは嫌というほど思い知らされます。
今回の自民党執行部の人事を見ると、谷垣さんには、弱者の戦い方を描くセンス、弱者の競争のあり方を構想する視点を持ち合わせていないことががよくわかりました。
ところで、弱いブランドにとって一番つらいことは何だと思われますか。それは、市場から無視され、話題にもならず、存在感を失ってしまうことです。
すでに、あの熱狂的な自民党ファンがいる巨大掲示版ですら、すっかり自民党の話題は薄れてきています。存在感を示せない。その道を谷垣さんは選択してしまったということです。これまでの自民党となにが違うのかということすら分からない人事となってしまいました。政権交代可能な二大政党を育てるという国民の期待を裏切ってしまったようで残念です。
党の再生どころか、来年の参院選での大敗すら危ぶまれるように感じます。次の参院選でもし大敗すれば地獄が待っています。さらに凋落が加速し、泡沫政党化することすら危ぶまれます。
筋としても、長く国対委員長をやっていて、自民党敗北の責任の一端を担っている大島さんが幹事長というのは、いかがなものかと思いますが、その点は政治評論家の人たちに任せます。この方も、民主党批判には熱いのですが、戦略家という感じではありません。衆参がねじれた状態のなかで、民主党批判を繰り返し、強硬な国会運営をやってしまえば破綻するのは当然で、すっかり小沢戦略にはまってしまったという印象を受けます。さっそく、鳩山故人献金問題を突くということですが、なぜ敗北したのかをまだ分かっていらっしゃいませんね。
さらに、このメンバーでは、政策の中味で民主党との差別化をはかることも難しそうです。谷垣さんもどちらかというとリベラルな考えの方です。消費税アップ発言以外は、民主党に属してもおかしくないのではないでしょうか。
しかも「絆」という言葉を掲げるというのでは、「友愛」と同じであり、あまりにも知恵がありません。アジア外交重視とくれば鳩山総理と違いはありません。
大島さんも河本敏夫さん直系で三木派の流れをくむので、どちらかというとハト派ではないでしょうか。どちらもミニ・ポッポ路線であり、マーケティングではそういうのを同質化といいます。だから衆目が集まるような争点をつくることが極めて困難になってします。石破さんは、まじめで論客だと思いますが、話が難しくなりがちで、広く共感を集めるというタイプの方ではありません。
旧来型の自民党政策は、民主党がやってくれます。公共事業など、企業にカネを渡して福祉をやるのか、直接やるのかの違いだけです。
たとえば、小泉改革は正しかった、ただ改革の優先順位と方法が間違っていた、本当に必要な規制撤廃はどんどん進める、なぜ規制撤廃が民主党ではできず、自民党ではできるのかをきちんと主張すれば、差別化ができるはずだし、若手にはそういう考え方の人も多いと思のですが。
そういう民主党との違いをイメージを含めてアピールできる人たちをなぜ選ばなかったのかですが、おそらく、加藤の乱で見せた姿から想像するに、策士としての能力の問題かなと思います。
さらにトップブランドの企業が、その座を失ったときに思い知るのは、それまで、トップの座にあぐらをかいてきたために体質が弱くなっているということです。そんな体質の弱さも克服しなければならず、いやはや大変です。
あとは、自民党の若手の人たちが、このまま泥船に乗り続けるのか、違った行動をするのかに期待を残すだけですね。
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