時代の端境期には、大きな変化が地殻変動のように起こってきます。この変化を俯瞰してみると、今は金融危機を引き金とした不況の嵐が世の中を覆い尽くしています。
しかし、よくよく見てみると、金融バブルの崩壊がこの時代に激しい急ブレーキをかけたというだけでなく、不況がさらに次の大きな時代のステージに向かう変化を加速させてきているのではないかということも感じます。
この四半世紀は、ゴードンムーアが1965年に大胆に予言した、トランジスタ数は4年で倍になるという「ムーアの法則」が、めまぐるしい変化をもっとも象徴する原理であったと思います。
「ムーアの法則」に従うように、情報処理技術が飛躍的に進化し、それがさまざまな製品を変え、また産業を変え、そして生活をも大きく変化させて、スピードの経済を生みだし、さらに情報洪水を起こした時代なのかもしれません。しかし、その「ムーアの法則」も限界に達してきたといわれています。
(実はそんな話を昨日行ったお店で、日本酒を飲みながら、半導体関係のお仕事をなさっているお隣のお客さまとやっていたのですが、それこそ酔狂というものでしょうか)
40年を生きた「ムーアの法則」、その終焉をゴードン・ムーア氏が予言
この時代の停滞感は、不況の問題だけでなく、昨今のデジタル家電の多くの製品みみられるように技術が成熟し、次のイノベーションを必要としてきていることも原因のひとつにあると思います。これまでとはなにか違う原理を求めて時代が模索しはじめてきているということなのかもしれません。
そのひとつの兆候にしか過ぎませんがグーグルの成長鈍化がはじまりました。グーグルはまさしくこの時代の寵児でした。グーグルが1998年に検索処理していたのは2500万ページに過ぎませんでした。しかし2004年末には、なんと80億ページの検索処理を行うようになったのです。それとともにグーグルはめざましい成長を遂げてきたわけですが、そのグーグルでさえ、はじめて売上高が減少し、前期比マイナス3%ということになったようです。
グーグルにも押し寄せる不況の波
もちろん、グーグルの成長鈍化が不況によるオンライン広告の減少という見方もできるでしょうが、それだけだろうかとも思ってしまいます。
さてもし私たちが時代の端境期を迎えているとしたら、次の時代を突き動かす原理はなになのでしょうか。ひとつは産業構造がもっと変わっていくということでしょうか。
まだ見えてくるものが断片的でありよく分かりませんが、かつてドラッカーがイノベーションについて、イノベーションは技術に限定されたものでなく、むしろ社会的イノベーションのほうが社会に影響は遙かに大きいと指摘していました。ともすれば、イノベーションというと技術論に偏りがちであったと思いますが、先進国が抱える少子高齢化社会への移行という、もっとも確実に予測される変化にむかう社会的イノベーションが求められる時代が来ているのかも知れません。もし、ドラッカーが生きていたら現在起こっている時代変化についてどう語ったのでしょうか。
いずれにしても、時代の端境期には淘汰の津波もやってきます。そんななかで、ずいぶん物騒な記事を見つけました。アメリカの話ですが、消え去ろうとしている12のメジャーブランドというものです。時代が変化するとなんらかのイノベーションが求められてきます。変化に対応するイノベーションが実現できなければ厳しい淘汰にさらされます。
それにしても、GAPはこの何年かにわたって業績が不振だと取りざたされていましたが本当にそこまで経営が痛んできているのでしょうか。ちょっと驚かされます。
Twelve Major Brands That Will Disappear
そのリストですが以下のものです。それぞれのブランドの抱える問題に興味のある方は、英語の記事ですが、そちらでお読みください。
1. Avis/Budget(レンタカー)
2. Borders (Barnes & Nobleに次ぐ大手書籍店)
3. Crocs (靴)
4. Saturn(GMの車)
5. Esquire Magazin(雑誌)
6. Gap (カジュアルウェア)
7. Architectural Digest Magazine(建築雑誌)
8. Chrysler(自動車)
9. Eddie Bauer (カジュアルウェア)
10. Palm(PDA)
11. AIG (保険)
12. 旅行産業(特に航空会社)
ブランド地図が塗り変わるという点では、以前にも触れたことですが、流通業のPBの商品アイテム数や売上がこの不況で伸びてきているとはいえ、欧米と比べると、PBのシェアも低く、またしくみが遅れていると思います。
おそらくPBということでは、日本ではあまり話題にならないドイツのハードディスカウンターであるAldiが最も進んでいるのではないかと聞いていますが、PB比率がなんと90%を超えていて、ナショナルブランドよりも消費者の品質評価が高いものもあるというのですから、日本にいてはなかなか想像がつきません。
この不況がPB比率をさらに押し上げることは間違いなく、欧米水準まで近づいていくとなると、ナショナル・ブランドが確保できるスペースは確実に小さくなっていきます。ブランドとして生き残るのか、あるいはサプライヤーとして生き残るのかという選択が迫られる、あるいは激しい淘汰がそう遠くない将来に起こってくると見るのが自然でしょうね。目先の新製品も大切ですが、そういった時代のなかでどうやって勝ち残るのかを今から考え備えた方がいいですね。
PB商品販売35%増 主要小売り09年度計画、日経調査
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